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作家・連城三紀彦とスピッツ・草野マサムネ

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連城三紀彦先生が逝去されてから1年半が経とうとしている。
約30年程前に連城作品に魅了され、
心酔する程好きだったので
連城先生の訃報を耳にし2013年10月22日以降、
辛くて連城作品を手にする事ができなかった。

逝去から1年半近くが経ち、
遺作として出版された短編集『小さな異邦人』を
やっと読む気持ちになれた。
時は悲しみを確実に薄めてくれるんだね。

連城先生の作品はとにかく表現が美しい。
読んでいて溜息が出る程美しい。
言葉を紡ぐ・・・という表現が本当に合う作家だと思う。

『小さな異邦人』の【指飾り】という短編。
既にタイトルから美しいものね。
“指輪”ではなくて【指飾り】・・・言葉の選択が連城先生らしいなと。

その短編の中で

「路地裏の狭っ苦しい夜空に、真二つに割れたような半月が浮かんでいる。
いや、浮かぶというより、冷え始めた風に払い落されたように危なっかしく傾いている。」

という一節がある。

その後主人公は部下のOLと月の兎に関する思い出話をして、一夜を共にする。
その夜の半月のように危うい関係である事を表現したかったのかな。

それから【蘭が枯れるまで】という短編の中の一節

「有希子の顔に表れたかすかな疑問符は女の笑顔に吸い取られた。
夕暮れも近づいて思いだしたように陽の光が覗き、水面の曇りを拭った。
池の一部がガラスのようにきらめいたが、女の笑顔にも、
今日一日有希子の胸や顔にしみついていた陰りをさっと一拭きしてくれるものがあった。」

池というのは井の頭公園の池なんだけど
井の頭公園を知らない人は「とても美しい池」だと錯覚するよね、きっと。

他の短編も溜息をつくような美しい表現ばかり。
ちなみにこの『小さな異邦人』という短編集はミステリー。
ここまで美しい表現のミステリーって本当に贅沢だなと思う。

ここまで書いて気付いたのだけれど
自分がスピッツを好きな理由って歌詞の美しさが大きいのかなぁ。

連城作品と草野マサムネが書いた詞には共通するものがある・・・気がする。
「連城作品の○○○の一節と、スピッツの◇◇◇の一節」
という様には指摘できないけれど。
分かる人がいたら凄いな。

最近の流行作家の本は読みやすいかもしれない、
でも文章を美しいと感動した事は皆無。

さて、これから連城先生の長編遺作『女王』を読もうかな。



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by karinpuku | 2015-04-16 00:36 | 読書